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アプガの道はアイドル・ポップスの道なり! ~アップアップガールズ(仮)が5人体制ラスト・ライブを盛大に開催、今後は関根梓+新メンバーの8人組へ


エモーションの限りを尽くしたメンバーの歌声に、ファンたちの熱狂的なコブシ挙げやサイリウム振りが炸裂して見えない火花を散らす。観客の歓声が実際の響きとして顕れることはなかったが、どこの誰もが心の中で“内なるコール”を発していたはずだ。ぼくも、見終わったあと、なぜか喉が枯れたような気分になった。と同時に、コロナ前のライヴでは大音量のコールに隠れて聞き取ることが難しかったオケ(伴奏)のかっこよさ、考え抜かれたコード(和音)やリズムの響きにたっぷり接することができて、「やっぱアプガの曲はトラックの段階から良いわ」と、よがってしまった。


5人組アイドルグループ、アップアップガールズ(仮)が17日、東京・Zepp Tokyoにて『アップアップガールズ(仮)FIVE SOUL FOREVER』を開催した。見どころだらけだったこのライヴの要点をミニマムに挙げると、(1)5人体制によるラスト・ライヴ、(2)新メンバー7人のお披露目 に尽きよう。



■5人体制によるラスト・ライヴ

Zepp Tokyoの最寄り駅は、りんかい線の東京テレポート駅だ。現場に向かうぞと気合を入れてエスカレーターに歩みを進めると、壁の両脇にメンバーそれぞれの写真+全員の写真を使ったポスター(計6枚×2)が張られているではないか。これはファン有志による制作だという。各メンバーの飛び切りの表情を捉えた写真と、特徴をつかみきった絶妙なコピーが、実にいい感じでレイアウトされている。楽しませ続けてくれたメンバーへの感謝、そして彼女たちの未来に寄せる暖かなまなざしが胸に迫る。これを見ている瞬間だけ駅員にエスカレーターの速度を激落してほしかった。が、そうすると会場に着くのも遅くなる。いたしかゆしだ。ファンはそのタレントの写し鏡だときいたことがあるが、アプガのファンはアプガ同様、真っ赤に流れる血潮だ。このポスターを見て、自分はいつしか、2013年7月にZepp TokyoそばのMEGAWEBで行なわれた「サマービーム!/アップアップタイフーン」のリリースイベントでの、(仮)旗への寄せ書きでファンが示した一体感を思い出した。


外は肌を刺すような寒さだが、どうせアプガのライヴが暖めてくれて、時間が経過するごとにその熱さは増してしまいには汗をかかせてくれること間違いないのだから、いくらでも肌を刺しやがれと冬の月に向かって叫びたくなるのだ。オープニングアクトは、プロレスとアイドルの融合に取り組むアップアップガールズ(プロレス)、鼻リコーダー等を含みつつも基本的には正統派路線をゆくアップアップガールズ(2)。発足から、プロレスは約3年、(2)はおよそ3年10か月。それだけの積み重ねをしっかり感じさせる、地に足の着いた、盤石のパフォーマンスが気持ちいい。



そしていよいよ本日の主賓、アップアップガールズ(仮)が登場する。メンバーは年齢順に古川小夏(メンバーカラー:ピンク)、森咲樹(メンバーカラー:緑)、佐保明梨(メンバーカラー:黄)、関根梓(メンバーカラー:オレンジ)、新井愛瞳(メンバーカラー:青)。しょっぱなに歌ったのは2012年3月、約1年間の“ハロプロ関連曲カヴァーしばり期間”を終えてから発表のデビュー曲~当時は、仙石みなみ(メンバーカラー:赤)と佐藤綾乃(メンバーカラー:紫)を加えた7人組だった~「Going my ↑」、さらに17年11月に出した5人体制最初のシングル「上々ド根性」。アプガの長く豊富な歴史を、まずはこの2曲に集約したという感じか。感情に訴える曲、乗れる曲、盛り上がる曲が佃煮にするほどあるだけに、セットリストには本当に苦労したのではないかと思われるが、やっぱり嬉しかったのは、11月10日リリースの最新アルバム『6thアルバム(仮)』に入っている曲が「愛愛ファイヤー!!」、「ヒート ビート アイランド」、「ソラハレルヤッ!!」、「I LIVE YOU」、「アゲノミクス!!」、「Light it up」、オーラスの「私達(with friend)」と、7曲もパフォーマンスされたこと。とくに、シングル既発ではなくこのアルバム初出となった「ソラハレルヤッ!!」、「I LIVE YOU」、「Light it up」が実演される機会は、たとえば「アッパーカット!」や「アッパーレー」といった大定番と比べると何百分の一だったであろうし、アルバムのリリイベもコロナの影響で決してたくさん行なわれたわけではない。だがアーティストとは大概、そのときどきの新作に一番気迫を込めているものであり、しかもアプガの作家陣は、ちゃんとメンバーの成長に対応してサウンドや歌詞の世界を深化させている。よって、今のアプガにとって最もふさわしい“あてがき”は今のアプガに提供された曲ということになる。アプガのメイン・ヴォーカルは関根梓と佐保明梨のふたり、というイメージはすでに過去のものとなって久しく、新井愛瞳、森咲樹、古川小夏それぞれが歌手としての個性・・・ソロはもちろんハモリでもたっぷり魅力的なところを聴かせた。「キラキラミライ」の途中、膝を曲げて、床に突っ伏すようにしてシャウトする関根、“この熱い魂を伝えずにはいられない、もう我慢できない”とばかりにテンポに対してかなり食い気味に飛び出してくる新井の、なんとかっこよかったことか。「チョッパー☆チョッパー」における佐保のヘッドバンギングと古川のバウンス対決は「一滴残らず徹底的に出し尽くした」感じの激しさ、「アッパーレー」での佐保の“ポイポイ”も、もはやスクリーム状態だった。

歴代衣装からさまざまな(仮)をとって張り付けたというコスチューム(関根梓がデザイン)、メンバーカラーを生かした鮮やかな照明も見もの。クソコロナがはびこり続ける中、メンバー、スタッフ、オーディエンスのみんなが今できるベストを尽くして、ベストの一夜をつくりあげたという印象を受けた。5人のMCから、一部抜粋したい。



新井愛瞳(メンバーカラー:青) 私は今23歳で、人生のうち17年間アイドルを続けてきました。応援してくださった皆様と作り上げてきたかけがえのない時間は一生の宝物だなと思います。卒業までまだ時間がありますが、最後の最後まで皆さんとハッピーに笑顔で過ごしていただけたらいいなと思っています。この世に生まれてきて本当に幸せだなって思いました。



佐保明梨(メンバーカラー:黄) (ファンの皆様と)いろんな感情を交換できたステージだったと思います。応援してくれる皆さん、私たちのことを支えてくれるスタッフの方、みんな含めてアプガファミリーです。アプガファミリーの皆さんは本当に愛をくれて、すごく暖かくて熱い。皆さんと一緒に作ってきたライヴという場所は、どこよりも私が自分らしくいられる場所でした。自分でもこんなに頭を振るのが好きだったりとか、叫ぶのが好きだとか、ライヴをやるまで知りませんでした。これからの夢は、おばあちゃんになっても、客席のどこかからその時のアプガを見ることです。



森咲樹(メンバーカラー:緑) アプガと出会ってくれて、支えてくれて、守ってくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。10年間、大変なことも多かったじゃないですか。だけど、皆がいたから一緒にがんばれたし、夢を叶えることもできて、とても大好きな場所です。離れていても、みんなが幸せでいることを願ってます。今日は本当に本当に幸せな時間でした。そして新生アップアップガールズ(仮)のことも応援してください。



古川小夏(メンバーカラー:ピンク) 10年間応援してくださりありがとうございました。自分で決めたことなので、こんなにわがままなことはないだろうなと思いながらも、この瞬間が終わらなければいいのになと思うぐらい、今日のライヴは楽しかったです。しんどいこと、大変なこと、いっぱいあったんですけど、ライヴが楽しくて、ライヴに魅了され続けたから、ここまでステージに立ち続けられたんだなと改めて感じました。皆さんのおかげで私はアップアップガールズ(仮)を続けることができました。皆さんからもらった宝物のような日々を胸に、私らしく、日本中を、世界中をハッピーにするつもりで生きていきたいと思っています。皆さんもハッピーでいてください。



関根梓(メンバーカラー:オレンジ) 10年間支えていただき本当にありがとうございました。ですが、アップアップガールズ(仮)は今日で終わりじゃありません、ということを口を酸っぱくして言いたいと思います。新しい時代が始まるんです。新しいアップアップガールズ(仮)でどういうステージが届けられるのか、未知の世界ですが、アップアップガールズ(仮)はどんなときも未知の世界にがむしゃらに飛び込んで、その結果が自分たちの強みになっていったグループです。恐れることなく扉を開いて、掴んでいくのがアップアップガールズ(仮)です。アップアップガールズ(仮)として、武道館に戻るということもあきらめておりません。アリーナでも歌いたいです。私は前を走っていきたい。これからも「やっぱアプガって最高だな」って思ってもらえるように、がんばっていきたいと思います。


■新メンバー7人のお披露目。8人組の新生アプガは来年1月3日からライヴ開始

古川、森、佐保、関根、新井によるアップアップガールズ(仮)のライヴ活動はこの日をもって終了し、来年からは関根に新メンバー7人を加えた新生アップアップガールズ(仮)がスタートする。オーディションを勝ち抜いた7人がこの日、初めて紹介され、さらに「FOREVER YOUNG」では計12人による(最初で最後の)パフォーマンスも行なわれた。新メンバーを、意気込みと共に紹介したい。


鈴木あゆ(スズキアユ メンバーカラー:黄) 自分ができることを精一杯全部やって、できる限り全部をアプガに費やして、すごい素敵なグループにしていきたいなと思います。これからも応援よろしくお願いします。がんばります。


鈴木芽生菜(スズキメイナ メンバーカラー:緑) アプガさんの存在する世界に生まれてきてよかったなって思わせられるようなアイドルになりたいです。合格がゴールじゃなくて、ここがスタートだから、これからもっと成長して、アップアップガールズ(仮)の芽生菜として、みなさんに認めてもらえるように、入ってくれてよかったと思ってもらえるように精一杯尽くします。アプガさんに人生を捧げます。


古谷柚里花(フルヤユリカ メンバーカラー:青) 今回のオーディションでも自分が一番歌がうまいと思ってきたので、歌を武器にがんばります。大変なことがたくさんあるのは、オーディション期間中にいろいろ察していたので不安とかはあるんですけど、期待に応えられるようにがんばろうという気持ちです。

青柳佑芽(アオヤギユメ メンバーカラー:紫) アプガのメンバーの皆さんに会ったらすごいキラキラしていて、かっこよくて、私もああなりたいと思いました。私は本当に初心者でみんなよりぜんぜん遅れていて、今から必死に追いついて、アプガさんのメンバーにも、がんばってどうにかこうにか追いつけるように今から精一杯がんばりたいと思います。よろしくお願いします。


小山星流(コヤマセイナ メンバーカラー:オレンジ) たくさん壁があると思うんですけど、アップアップガールズ(仮)として絶対に武道館に立ちたいです。選ばれたからには、ここが本当にスタートライン。これからアップアップガールズ(仮)として楽しく厳しい人生を歩んでいきたいと思います。


工藤菫(クドウスミレ メンバーカラー:モカ) アイドルになりたいのももちろんあるんですけど、アップアップガールズ(仮)さんになりたいという気持ちのほうがどんどん強くなっていって、熱量がかっこいいと思うし、その熱量を超えていけるようなアップアップガールズ(仮)の一員になれるよう、アップアップガールズ(仮)をアップアップしていけるような存在になれるようにがんばりたいと思います。


住田悠華(スミダハルカ メンバーカラー:ピンク) 体力も歌もまだまだだから、筋トレとかして自分自身を高めて、全曲ライヴを半年後にやりたいです。(合格は)まだ信じられないんですけど、まだ素を出せてないので、個性をどんどん出して、自分ができる最大限のことを全力でやりたいです。食べることが大好きなので大食いをしたいです。

関根梓はリーダーに就任、メンバーカラーも赤に変わる。



アプガ史上最多人数である8人組として、新たなスタートをきるアップアップガールズ(仮)。曲は継承されるのか、歌割りやダンス・フォーメーションはどうなるのか、「アップアップガールズ(仮)の新たな時代を築き上げていきたい」と力強く語る関根のリーダーシップは? 新生アプガのファースト・ステージは1月3日の「ニューイヤープレミアムパーティー 2021」にて。期待はつのるばかりだ。



(取材・文 原田和典)


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